由愛ちゃんが出て行った保健室には、微妙な空気が流れていた。
あんな顔されちゃ、僕も珠樹も黙るしかないかもしれない。


「なんか、悪かったな…」

「珠樹が悪いわけじゃないから」


珠樹の謝罪の言葉を聞いても、僕は珠樹の方を向かずに、由愛ちゃんの出て行った扉を見つめていた。


やっぱり、追いかけた方が良かったんだろうか。
でも由愛ちゃんの性格からして、きっと真っ直ぐ教室に向かうだろうから、邪魔しない方が良いかも。


よく分からないけど、そんな考えがどんどん頭の中をぐるぐると回っていた。


「なぁ、泉…」

「ん?」