知らなかった。
きっと、珠樹先生が〝サボり推進派〟じゃなかったら、私の優等生生活は終わってた。
私の背中に少しだけ、寒気が走った。
「でもさ、お前が初めてかも」
「へ…?」
「教師って、たいていサボりの奴見抜くんだよ。でもお前のことは、どの教師も信じて、利用者表に書いてあったから」
「…」
私は口をつぐんでしまった。
優等生って言われた気がして、嫌だった。
いつも慣れていることなのに、一教師とはちょっと違う珠樹先生に言われたからかもしれない。
「あ、そろそろ来るな…」
「え…、誰が、」
珠樹先生の不意な言葉に顔を上げると同時に、保健室にガラッという扉を開ける音が響いた。

