Dummy Lover



「ははっ…。そんなに思いつめた顔すんなよ」

「だ、だって…」

「別に良い。俺、サボり推進派だし」


『それって教師としてどうなんですか?』という言葉は飲み込んだ。


「あの、名前…」

「あぁ、俺、藤堂珠樹って言うから。覚えとけよ。羽月由愛さん?」

「あ…、はい。ごめんなさい、藤堂先生」

「下で呼べ、下で」

「…珠樹、先生」


珠樹先生は少し嫌味っぽく言ったけど、私は素直に謝った。
名前を知らなかったことは、私が悪いわけだし。


「あの、なんで私が保健室行くって言ったなんて分かるんですか?」

「職員室にさ、保健室利用者表ってのがあって、保健室で授業休んだ奴の名前を教師が書くんだけどさ」

「そこに私の名前が書いてあるんですか…?」

「そう。一ヶ月に一回くらい書いてあって、しかも知らない名前だし」