Dummy Lover



保健医だって、先生である。

私はすぐに頭を優等生モードに切り替え、体を起こそうとした。
もちろん謝罪とお礼を言うために。


「あの、」

「まだ起きるなって。いきなりぶっ倒れた奴が、目覚めて早々いきなり起き上がったら、またぶっ倒れるぞ」


話を切り出す前に、真剣な顔で遮られてしまった。


「あ、…ごめんなさい」


私は起こしかかった体を布団の中に戻して、謝るしか出来なかった。
布団に入ると、自然に白谷のことが思い出される。




白谷どうしたんだろう。

桜が言ってた、私をここまで運んでくれた男子って、アイツしかいないんだから。




「さ、愛川は教室に帰れ。今行けば6限には間に合うだろ?」

「いや、でも…」


保健医にそう言われて、私のことをちらちら見ながら口ごもる桜に、私は一声かけた。


「私大丈夫だから。桜、授業行って来て」

「ホントに…?」

「うん。本当に大丈夫だから」


私が微笑みながら言うと、桜は困ったように笑いながら、保健室を後にした。