「由愛!」

「…あれ、桜。委員会は終わったの?」


ゴミ袋を抱えて渡り廊下を歩いていた私に声がかかった。




少しウェーブがかった長い髪を揺らして、私に小走りで近づいてくる親友の愛川桜。

猫被りの私の本性だって、もちろん知っている。
小学生の頃からの腐れ縁で、親友と呼べるまで仲良くなった。

いつもは一緒にお弁当を食べるけど、桜がたまたま委員会だったから、私は一人で食べていたのだ。




桜は少し眉間にしわを寄せ、私の抱えたゴミ袋を指差しながら言う。


「委員会終わったから、教室戻ろうと思ったら…、また頼まれたの?」

「…まあね。私、クラス委員だしね」


私が軽く答えると、桜はさりげなくゴミ袋を一つ持ってくれて。


「さ、行こ!」

「あ、うん」


私たちは、ゴミ捨て場まで走った。