草太のせいじゃない!! そう言いたかった。 でも言えなかった。 多分皆自分を責める彼にそう言ってきた筈だ。 「俺があの時フライなんかあげなかったら!ヒットを打っていたら!せめて塁に出ていたら!」 「草太!!」 名前を呼ばずにはいられなかった。 彼が、消えてしまいそうな気がして。 俯く彼の手をとる。 マメと瘡蓋だらけの固い手だった。