セイントロンド



「待ってくれ…死期が早まるってどういう事だ?」


カインが震える声で尋ねる。


あぁ…聞かれちゃったか…何てごまかせば…


「すまない、アメリア」

「大丈夫だよ、フィリナ」


多分、思わず口を滑らした事に対しての謝罪だろう。


「アメリア…お前本当に何を抱えて……」


動揺するカインの前に私は立った。



「カイン、そんなことより今は事件を何とかしなくちゃ」


「ふざけんな!!!!」


―ガンッ


「!!!!!」



カインは苛立ちをぶつけるように近くの壁を殴った。

私は驚きで動けない。
こんなにカインが怒ったのは初めてだったからだ。


「……そんなこと?お前にとっては、死ぬって事はそんなことで済ませられる事なのかよ!!!!」


カインの言葉の意味が分からない。


自分の死なんて考えた事もなかった。


ただ目的を果たせるまで生きていられれば…


「俺はっ…お前が死んだらっ…くそっ!!!!」


カインは片手で顔を覆う。私はそれをただ見つめるしかできなかった。