セイントロンド



「何を見おった、アメリア。あれだけ全てに興味を失っていたおぬしが、今は必死に足掻いているように見える」


フィリナの言葉に私は目を見開く。


的を射てる。
そこまで見抜かれてるなんて、本当に侮れない。


「一体どこまで知ってるの、フィリナ」


冷や汗をかき、笑みを作りフィリナを見据える。


ただならぬ雰囲気にカインは黙り込んでいた。


「…アメリア、メフィスト・フェレスには関わるでない」

「!!!!!!」


―ガタンッ


慌てて立ち上がると、前にあった机の上の花瓶を倒してしまった。



「なんでそれを………」


それも過去見だというの?
いや…フィリナが生まれるずっと前の悲劇だ。


巫女は自分が生きる時しか見る事は出来ない。


なのになぜ………


「知っておるようだのう?あやつに関われば、おぬしの死期が早まるぞ」


あぁそうか…………
先見の力だ。


私はメフィスト・フェレスに出会うんだね。


「私はあいつに接触するんだね?」


私の問いにフィリナは答えない。


「フィリナ、彼は全ての元凶だよ。あいつにさえ辿りつけば………」


「馬鹿な事を考えるでない!!わらわは出来るだけ長き時を生きてほしいのだ…」

フィリナは何故か泣きそうな顔をしていた。


「フィリナ………」


フィリナ…私は全ての責任はワルプルギスの血筋にあると思うから…


だからこそ…………


「次の聖女に生きる幸せを、全ての人間と魔女に本当の平穏をあげたいの」


母さんが、父さんが守った世界…


母さんと父さんが共に生きれなかった事の悲しみを、誰にも味わってほしくない。


私達ワルプルギスの血のせいだ…。悲しみの連鎖を止めなくちゃいけない。


「フィリナ、私は今生きたいと思うよ。少しでも時間がほしい。まだまだ私の願いを叶えるまでには時間が必要だから…」


私が笑うと、フィリナは泣き崩れた。


「わらわを一人にするのか?こんな世界の為におぬしがっ………」


泣き崩れるフィリナを抱きしめ、背中を撫でた。


いつも冷静なフィリナがこんなに取り乱すなんて…