セイントロンド



「魔女の目的は?」




「わらわにも分からぬが…。古い洋館が見えたな。そこで魔女は何かを取り戻したいと願っておる」


取り戻したい………
魔女は何を願ったんだろう…


「魔女が願うのか?」

「魔女だって心はあるよ」


私の言葉にカインは眉間にシワを寄せる。


「どうしてそう言い切れる?」


「それは…魔女も誰かを愛し、愛される事を望むから」



リリスがアダルテを愛し、愛されたいと望んだように、彼等にも愛する心がある。


「お前は、たまに魔女の味方をする時がある。壊すだけの存在にどうして…」


カインは魔女に辛い仕打ちを受けた。


でも…………


「人間に悪い人間と良い人間がいるように、魔女にも良い悪いがいるって思うのは間違ってる?」


黒人だから、白人だからとか、魔女だからと偏見するのは間違いだと思う。


「…そう考えた事はなかったな…」


カインは考え込むように俯く。


「まぁ、アメリアが特別なだけよ。こやつには見えない真実に触れる力があるからのう…」


まるで私がおかしいんだと言われているようだ。


「フィリナ、あなたも充分特別だよ?」


私の言葉にフィリナは笑う。