セイントロンド



「…その痛みを前へ進む力に変えて。あなたなら大丈夫…」


カインはゆっくりと頷く。


それから自分の眼帯に手をかけた。


―サラッ…


眼帯は地面に落ち、カインの赤い髪によく似た、紅の瞳と目が合う。


…まるで紅蓮の炎だ…


強い意志の輝き。
焼き尽くす業火の炎……


対の碧と並ぶ事で違いの輝きを尊重するそれを私は見つめていた。


不安そうな顔で私を見るカインに微笑みかける。



「とても綺麗だよ……。あなたの瞳より綺麗な紅は見た事ない」


「…アメリア………」


カインもぎこちなく笑みを浮かべる。


私達はしばらくそうして微笑み合っていた。