セイントロンド



「すまなかったのう…」


フィリナは私の前にひざまずき、カインの頭に手をおく。


「あなたが…巫女…なのか…?」


「そうじゃ、辛い思いをさせたのう…」


フィリナは申し訳なさそうにカインに頭を下げた。


「カイン、気分はどう?傷は癒えてるから、あとはあなたの気力しだい」


私の言葉にカインはゆっくりと体を起こす。


「本当だ…あんなに痛かったってのに、傷が全くない」


カインは体中を見て感動したように呟く。



「だがアメリアは傷だらけだのう…」


心配するようにフィリナは私を見る。


力の使い過ぎは良くない。
なにせ、カインに魔を憑かせた魔女を見つけるには時間が必要だ。


命の時間が尽きないよう無駄遣いは無くさないと…


「何でお前の傷は癒えねぇんだよ!!!」


カインは私の体を見てまるで痛みを堪えるような顔をする。


「あなたの傷は癒えたのに、なんでそんな痛そうな顔をするの?」


まだ癒えきれてない傷でもあったの?


「本気で言ってんのかよ…。馬鹿野郎!!!!」


首を傾げている私をカインは強く抱きしめた。


「カイン、痛い…」

「っ…悪い………」


抱きしめる力を少し弱めてくれる。


でも腕を解きはしなかった。


肩が小刻みに揺れている。怒っているのか、泣いているのか分からない。


「カイン…?」


問いかければカインの肩がビクンッと揺れた。


「…………ゃ…するな…」


「…え………?」



聞き取れず聞き返すと、カインは大きく息を吸う。


「無茶するな」


そう言って私の肩に顔を埋めた。



「…俺の為に傷つくな。守ろうと思ってたのにお前に守られて…そんで傷つけて……」


まるで痛みを堪えるかのようにと声を搾り出すカインの背に腕を回す。


私より辛そうにするから…