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「…聖女様」
棺をただじっと見つめていると、伝令役の男が声をかけてきた。
「もう行く…」
私は棺へと深く一礼をし、背を向け歩き出した。
早く…この戦いを終わらせなければ……
それには全ての根本を何とかしなくちゃいけない。
大魔女リリス、聖女ワルプルギス、アダルテ。
そして…メフィスト・フェレス…
「…あの悪魔さえいなければ……」
あの悲劇も、こんな悲しい世界も生まれなかった。
あの悪魔さえ………
「アメリア、一体どうした?」
気づけば隣にカインがいた。心配そうな顔で私を見つめている。
「どうもしない…どうして?」
「顔が強張ってるぞ。不安な事でもあるのか?」
なるべく表に出さないようにしてたのにな…
「気のせいだよ、早く行こう…」
それ以上悟られぬように足早に部屋を出る。
「お、おい!!」
カインは慌てたように私に駆け寄る。
「嘘つくなよ、何かあるなら一人で抱え込むなって」
「…あなたに話しても、変わらないし何も出来ない。だから言う必要もない」
人の手には負えないものを、人に負わせるわけにはいかない。
また死者を生むだけ…
ならば知らずにいた方がいい。
「なるべく厄介事に首を突っ込まない事、命が惜しいのなら……」
関わらないのが一番良いに決まってる。