二人が家を出るとすぐに、妹、涼香のファンクラブの男の子たちがうじゃうじゃと家の前の門を囲っていた。


涼香は「うざ」と一言ぼやくと、得意の営業スマイルで彼らの応対をしていた。

私はというと、門を出るや否や、周りのファンクラブの男の子は一歩後ずさりながら、私との距離をはかるように下がって行った。


いつものことだ。


人並み以下のこの頭と、顔、そして、この体系にいつも劣等生のステッカーを張られ、比べられている。

よく、本当は違う人の子供ではないのか?と思ってしまうときがある。

だが、残念ながら同じ母親から生まれた二卵性双生児だ。


この時間が苦痛でしかたない。

学校に行けば仲間がいて友達もいるから楽になれるが、この妹と歩く通学路は私にとっては地獄への道だ。


いつも妹の学校に行ってから自分の学校の向かうのが習慣化されている。

妹を守るためらしい。


私の制服は悪い虫避け対策になるらしい。
なんでも、天下の荒高ですからね。

下手に手を出せば、家族や親せき、はたまた自分に関わる全ての人が悲しい目に合うらしい。


そういう風潮が流れているらしいからだ。


まあ、全部ウソだけども。


「気持ち悪い・・・」


最近よく、吐き気に襲われる。

「おはよ。お勤めご苦労さん」

後ろから、涼香と同じ制服の良鞘 トキヤ(いざや ときや)が現れた。


「なら、良鞘君が妹を連れて行ってよ」

私は逃げるかのように妹を託すと、足早にその場を後にした。