「・・・すぐに知らせて・・・・」


白く透き通るような肌を純白のドレスに包み、長く艶やかな髪は風に弄ばせている。

そして、大きく開かれた両眼は青く、吸い込まれるような大きな瞳で、赤い唇は思わず息をのんでしまうほどの妖美さを隠し持っていた。


絶世の美女の一人として謳われた大天使 ルフィナ・セレスティーヌ。


この時代の全てを統べる神的存在だ。


「アディス・・・。もし・・・。もし、私がいなくなっても・・・」

「やめろ!ルフィナ。そんな話は聞きたくない」


アディス・メグライアンは彼女の美しい声をさえぎるように荒々しく言った。


「俺は、どんな時でもお前のそばを離れることはない」

「アディス・・・。ありがとう。でも、聞いて。私がいなくなっても、私はあなたを愛しているわ。未来永劫。例え、姿が変わってしまっていても、私の魂がある限り、そして、この証がある限り、私はあなたを愛し続けているわ」

ルフィナはそう言ってアディスの頬に軽く唇をつける。


「愛しています。アディス・・・・永遠に」


掠れるような声は次第に遠くなっていく。


それを感じたアディスは叫ぶように彼女を引き留めようとしたが、彼女の姿は次第に薄れて行ってしまう。


「ルフィナ!!」



手を伸ばしても、彼女には届かない。


(くっ苦しい!)






















ガバッ!!


勢いよく布団を撥ね退け起き上がる。


(また、あの夢だ)


私はアディスで、ルフィナっていう絶世の美女と最後の時間を一緒に過ごして愛の言葉をささやき合っている。

そして、ルフィナは消えてしまう。

そんな夢をずっと見ている。



「はあ」


大きなため息をついた。



この日が、始まりの日だとも知らずに。