その日は真夏なのに
一日中雨だった






蒸し暑いことこの上ない






暑い





動きたくないという思いが
さらに
身体を重くする





今日は
玄関まで
君を見送らなかった








でも忘れていた





君は居なくなる前に
いつも透明な扉を
閉めて行ってしまう事を







…暑い






透明な扉が開いていないと
綺麗な音も
きこえなくなってしまう





それが
また僕の身体を暑くする






救いだったのは
君が機械を
止めていかなかったこと





とりあえず
君を死体で迎えずに
すみそうで安心






















いつの間にか
眠ってしまった





君が重い扉を開いて
帰ってきた





最近は全然見なかった
ビニールに入った
外で調達した食料





君はため息を吐きながら
それを取り出す








__どうしたの?








僕が尋ねると
君は
僕の存在に気付いて








__ごめんね、
ご飯忘れてたね。








そう言って
僕の前に
カリカリを出した






違うよ
そうじゃない





僕は君に
どうしたのって
聞いたんだ





最近はなかったのに
今日は早く寝てしまうの?





それはそれで
僕は嬉しいけど
君は嬉しくないでしょう?