プレゼントを
もう一度抱えたなぎさは
俺に背を向けて歩き出した。


俺が受け持つクラスは九条の方で、
なぎさに関わるのは
考えただけではない。

でも、俺はなぎさを一度見てる
…あの日に。


「なぎさ!」

立ち去ろうとするなぎさに向けて
ポケットからチョコレートを出す。

ああ、女子生徒から貰ってたな…。

まぁ…いいか

投げ渡せば
慌てたように片手でそれを取る。

「またな」



夜、学校で仕事を終わらせた俺は
誰もいない図書室の一角に座る

そこに座れば
なぎさに出会った冬を思い出す。


「早いな、」

俺は誰もいないことを確認してから
タバコを加えて火をつけた。

煙が図書室に満ちる


「“あげは”と“なぎさ”…か」

似てないようで
違う苦しみを背負う双子


でも、俺は…

「あの日から、
 なぎさに…惹かれてる。」

あの、寒い冬の日から…
俺は許されない想いを抱いてる。