「潤?」 「へ?」 ドア越しに潤のお母さんが話しかけた。 「このスーツ、誰の? すごく湿ってるけど…」 「あぁ、それ先生の」 「先生?なんで先生のスーツがあるの?」 「雨に濡れたから?」 雨に濡れたあたしが寒い、と言ったから先生は新品なのにスーツを貸してくれた。 「ふーん、よくわからないけど、クリーニング出しておくね?」 「サンキュー」 お母さんはそれだけ残すと洗面所から出ていった。 「……」