【短編】彼女の瞳に映る世界


次の日、憂鬱な気持ちで教室に行くと、町田さんがもう来ていた。

「あ……」

「……おはよ、中川君」

「…おはよう。あの、町田さん、その昨日はごめん」

謝ると彼女は黙って首を振った。

「ううん、いいよ」

「え?」

ヒドい事を言ったのに、町田さんは笑っていた。

「昨日ね、あれからいろいろ考えたんだ。確かに私は春君ばっかにひっついてて、誰に何を言われても全然気にしてなかったなって。周りから見ればそれってやっぱりちょっとおかしいでしょ?中川君に視野が狭いって言われて、そうだなって思ったの。思い出すと私、春君しか見てなかったんだよね」

そこまで話すと、町田さんは真っ直ぐに僕を見つめた。

「でもね、中川君が思ってるほど、周りが見えてないわけじゃないよ。視野は狭いけど、その分ずっと遠くまで見えるの」

そう言って町田さんは、泣きそうな顔をして笑った。