【短編】彼女の瞳に映る世界


「春君だけ…?」

町田さんはキョトンとしていた。

「そう、キミの周りにはたくさんの人や物が溢れてるというのに、キミの瞳は竹本君が関係する事しか受け入れない」

「そんなこと、ないよ」

「じゃあ、僕の名前、分かる?」

「中川君でしょ?」

「下の名前」

僕がそういうと、町田さんはたじろいだ。

「僕だけじゃないよ、クラスメイトの名前だってそうだ。もう半年以上経ってる」

「………確かに、分かんないけど…」

「必要ない?」

「え?」

「キミの世界には竹本君以外は必要ないの?」

「…っ!中川君、難しい事言わないでよ」

そう言うと町田さんは鞄を持って教室から出て行ってしまった。