準備が終わると、リビングへ向かった。




リビングには、もう梨沙がいた。




「お兄ちゃん、おはよ……」
「おはよう、梨沙。元気ないけど、まだ昨日の事気にしてるの?」
「……そ、そうだけど?」
「なんで、今日渡さないの?」
「だって…前日以上にその人に渡す人が多いから……って、お兄ちゃんだってわかってるんでしょ?」




まぁ、確かに……




梨沙の好きな人っていうのは、僕の友達の涼介。
バレンタインデーの数日前から女生徒が群がってる。




「人が多くて渡せないなら、僕が家に呼ぶって去年言ったじゃないか…そうすればよかったのに」
「だって、なんかそれじゃ意味ないし!!」
「ふーん……」




そんな言葉を交わしながら朝食を食べた。




「あ、そういえば母さんは?」
「お母さんなら、体調悪くなったからって休んでるよ?」
「そっか……」




僕の母さんは体が弱いくせに、色々と張り切るからすぐに倒れてしまう。
ちなみに、父さんは僕が小さい頃に死んでしまったらしい……。