「あのとき言えなかったから、今言ってやる。」
瞬きもせずに杉本を睨み付ける。ようやく整ってきたはずの呼吸が妙に荒かった。
「てめぇの物差しで判断すんな!!!そんな男こっちからお断りだ!!」
「あとっ!!奈央はお前に勿体ないくらいの美人だ!!自惚れてんじゃねぇよナルシスト!!!」
格技場に反響するくらいの大声で言ったのに、杉本は表情をぴくりとも崩さなかった。
なんなんだ、この余裕。
「それが、今までずっと俺を嫌ってきた理由か?」
「だからなに。」
暫くガチンコ状態が続いたが、先に折れたのは杉本だった。ため息をついて、床に座り出した。
「2つ。解かなきゃなんねぇ誤解がある。」

