【 側にいるよと笑うから 】





「...うえっ。」


「汚ねぇ。なんだよ、人が折角褒めてんのに。」



そんなこと、今まで敵だと思っていた奴に言われても...どうすればいいのか分からない。

褒められたんだよね。嬉しいはずなのに何だろう、この居心地の悪さは。



「う゛――何かむずむずする...。」



体をぶるぶる震わせながら身を縮めてみたが、体のむず痒さは変わらなかった。



「捨て犬みてぇ。」



いつもの悪態に言い返してやろうとしたが、言葉が出てこなかった。



「...ん?なんだよ。」


「...別に。」



こいつと一緒にいると調子狂う。いつもと違うこいつの表情なんて見たくなかった。