「...うえっ。」
「汚ねぇ。なんだよ、人が折角褒めてんのに。」
そんなこと、今まで敵だと思っていた奴に言われても...どうすればいいのか分からない。
褒められたんだよね。嬉しいはずなのに何だろう、この居心地の悪さは。
「う゛――何かむずむずする...。」
体をぶるぶる震わせながら身を縮めてみたが、体のむず痒さは変わらなかった。
「捨て犬みてぇ。」
いつもの悪態に言い返してやろうとしたが、言葉が出てこなかった。
「...ん?なんだよ。」
「...別に。」
こいつと一緒にいると調子狂う。いつもと違うこいつの表情なんて見たくなかった。

