「今のおっさんは、この辺り一帯の地主で
不動産コンサルタントの柿谷(かきたに)さん。

っで今のがひとり娘の瑠奈。20歳。」

「私と同い年だ!!」

瑠奈と柿谷氏が去った後、朝陽が説明
してくれた。

「もともと、柿谷さんは何かあるとウチの系列店を
広く使ってくれてて、それで親しくさせてもらって

最近は、奥さんの店で個人的に飲むことが多くて
お互いにプライベートなことも話すようになって、

ひとり娘が手に負えないって相談を受けたのが
瑠奈だったってわけ。

瑠奈は生まれた時から心臓の一部が欠けてる病気で
『心房中隔欠損症』とかって言ったか。

これまでずっと、大事に大事にされ続けてきたから
それはもう我が儘なんだよ。

その心臓の病気だって、なんともない奴は何ともなく
一生が終わるようなんだが、人によっては動機や
息切れが酷くなって手術が必要になるようなんだ。

その、不運にも手術が必要になっちまったのが
瑠奈だったってわけで、

今、断固として手術を拒絶してるんだ。」