話の流れで尋ねると、陽希は照れ臭そうに

「いるよ。イッコ年上なんだけどとっても可愛い女性(ひと)。

でも、残念ながら今、オーストラリアに研修中だからなかなか
会えなくてね。今日、久しぶりに会えたんだ。

これが終わったら一緒に過ごす予定。」

幸せそうに話す陽希の姿を見て舞花は少し羨ましくなった。

(こんなに溶けるような笑顔で愛しい人の話をするんだ。
なんだか、こんな風に愛されたら幸せだろうな…。)

舞花は違う意味でうっとりしながら陽希の話を聞いていた。


そんな二人をトイレから戻った朝陽は面白くない顔で
見ていた。

そして何も知らない陽希は席に戻った朝陽に向かって小声で

「兄貴、自分の婚約者を名字で呼び捨てじゃばぁちゃんに
フリだってすぐバレると思うよ。」

っと軽く笑いながら言った。
朝陽は更に機嫌が悪くなった
様子であった。