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なんだろう、なんか妙に安心した気がする。


「へえ」

「…もしかして、薄々気付いてた?」


いつものふわふわした喋り方じゃなくて、はっきりした口調に不思議と違和感を感じなかった。


「…分からない。でも、何か裏がありそうなのは感じてた」


時々、何かを隠すように制服のネクタイを握り締めてるのを何度か見たことがある。

少し間が空いた後、未夢がいきなり笑い出した。


「は、ははは…っ。可笑しいでしょ?天然キャラ作って、皆とは違う学校に来て。でもまさか綯捺ちゃんが居るとは思わなかった」


あたしみたいに変わってて最初は気がつかなかった、と天然の方の喋り方をしながらあたしを見た。


「あたしの恋絡みで、あの人達を止めれなかったせめてもの罪滅ぼしで、あたしは──関口未夢を自分で殺したの」

「…あたしも、未夢を傷付けたのとあいつらに傷付けられたあの頃のあたしを殺した」


未夢は目を見開かせて、そして静かに涙を流した。

そんなに、酷いことを言ってしまっただろうか。一応、気をつけたつもりなんだけど。


「…っ、なっちゃんってホントバカ!そうゆう所が、優しすぎる所が昔は大嫌いだったっ!」

「え。あ、ごめ、」

「謝んな!なっちゃんまで殺すことなかったのに…っ」


そうゆう未夢も、自分を閉じ込めてまであの、さばさばして人一倍努力家の、関口未夢を殺すことなんかなかったのに。

あたしが未夢から目線を外すと横に号泣している亜梨沙がいた。


「な、綯捺ざんって中学生の時どんな感じてだっだんでずか?」

「っんなの、明るくて笑顔が可愛くて我慢強い子だったんだよー!」


2人とも、泣きすぎて可笑しなことになっている。