そうえば、あの子の名前も“みゆ”だった。

ごめん。許されないのは分かってるけど。


「綯捺さん、」

「それは違う…っ!」


亜梨沙が何かを話そうとしたら、後ろの席から聞き覚えのある声が聞こえた。

振り返ると今にも泣き出しそうな未夢がいた。一瞬、あの子かと思った。


「みんなは悪くない…あたしがちゃんと言わなかったら、みんな…ごめんなさっ…」


溢れる涙を手で擦りながら謝っていた。

あたしは顔は見えないが元彼かと思い、席を立とうとしたら亜梨沙が先に立ち上がった。


「奴は、ライバルいや宿敵っ!」


未夢に向かって指を指してよく分からないことを言い出した。


「あっ…なっちゃんの妹ちゃん!」

「ちゃうわ!恋人って言って!!」

「えー、女の子同士は付き合えないよ?」

「…じゃ、ジャパニーズジョーク!」


なんか亜梨沙が折れた。しかもなんか疲れる感じもする。


「なっちゃん!!」


あたしが立ち上がると、未夢が走ってこちらに来た。

突進されたのでその反動であたしはよろけた。


「…元彼?」

「う、ううんっ。泣かされたワケじゃないの!勝手に泣いちゃったのー…」


泣いたせいで化粧が落ちていて、すっぴん状態だった。…似てる。

──まさか、そんな訳ない。でももしそうなら、謝りたいんだ。


「……未夢、」

「ん?どうしたの?」