“あれぇ?もうなつちゃん助けないんだ”
その割には、随分嬉しそうな口調だった気がする。
“…や、だって助けてやったのにキスの一つもさせてくんねーから無理”
“もしかして最初からそれ目当てなワケ?あはは、可哀想!”
“うぶって可愛いのかなって思ったら、めんどいだけだった。あー、もうあいつはどーでもいいわ”
“えー…じゃあ、あたしにしなよ?あたし、キスぐらい構わないよ?もちろん、それ以上も”
やめて、もういい、分かったから。
“マジで?じゃあそうしよっかなー”
もう…、やめろ!
「───…っ、」
荒い息を整える、良かった夢で。
「……いてー」
あいつ、今思えば胡散臭いとこばっかだった。
──でも、それでも、
「…好き、だったんだよなあ」
証拠に、胸がこんなにも痛いのだから。


