“髪長いの似合わない”

“うわ、貞子みてえ!” 


『や、やだ!やめ…やあああああ!』


長い髪が、唯一自慢できて自分も好きだった。

けど、それは同級生の手によって簡単に雑に切られてしまった。


誰にも言えなくて泣いて夜を明かした日。

1人だけ、あたしの味方をしてくれた。


“髪短いのも似合うじゃん。ま、長いのも良かったけど”

その一言で、すごい救われたの。

“オレが、守ってやるから”

本気で好きになりそうだった。


…なのに、なのに、


“──キス、してい?”

『え?ごっ、ごめん…あたし、まだそうゆうのじゃなくて…』

“…ん、分かった。急に言ってごめんな”


それ以来、彼と会話すら愚か助けてくれることもなかった



──あたしの世界は髪と共に白黒に変わっていった。