「っ、桜井君…!」

「違うの、これは!」

「勘違いしないで、ただ…その、マネージャーの仕事を手伝おうとしてただけで」


女の先輩達は慌てふためき、必死に言い訳をしている。

その顔は青ざめ、泣きそうになってる人もいた。

私の胸ぐらを掴んだままの先輩は、小刻みに震えている。



「へえ、手伝うって数人が一人を囲んでフェンスに叩きつけて殴ろうとすることなんだ」


先輩がこっちに向かって歩きながら吐き捨てるように言った。


目が…怖い…


先輩は私達のすぐ側まで来て足を止めた。


「その手、離してやれよ」

「え…」


明らかに全員が怯えているのがわかる。


「離せって言ってんだよ!!!」


さっきとは打って変わって地を這うような低い声と睨みつける冷酷な目。

私が睨まれているわけではないのに私まで首をすくめてしまった。