さくら色 〜好きです、先輩〜


「ハァハァっ……」


校門を出て数百メートルの所で立ち止まり、乱れていた息を整える。


び、びっくりした…

今日の恭介…いつもと違った。

あんな顔、サッカー以外で見たことないよ…


バクバクと早鐘を打つ心臓。

これがさっきの緊張から来るものなのか、全速力で走ったせいなのかわからない。


息が詰まりそうだった。


あの雰囲気も。

あの真剣な顔も。

熱い瞳も。

そして、あの言葉の続きも。


もし、智樹って人が来てなかったら何を言われたんだろう。


“俺…葵のこと…”


まさか…ね。

恭介が私のことそんな風に思うわけないよね…

顔見せるとすぐ喧嘩になるし、恭介にとったら私なんて男友達みたいな存在だもん。



好き、だなんて…ありえない。