「俺…葵のこと…」
熱い瞳が私を捉えた、その時。
ーーーーガタンッ!
タイミング良く大きな物音がして、私達はビクッと肩を揺らした。
暫し流れる沈黙。
その後「しーっ」と人差し指を立て、音がした方に忍び足で見に行く恭介。
そのすぐ後ろを着いて行くと、サッカー部のジャージを着た男子が下駄箱に背中をピタッとくっつけて気まずそうに立っていた。
「と、智樹!!」
「…恭介、悪い。もうすぐ練習始まるから呼びに来たんだけど…」
そう言ったサッカー部の男子は顔の前で両手を合わせ苦笑いを浮かべた。
も、もしかして今の会話…聞かれた…?
途端に恥ずかしさが込み上げ、頬に熱が帯びる。
「わ、私!今日は帰るね。あの…マネージャーのことなんどけど、やってみることにしたから」
「…そっか、わかった。サンキューな」
「ううん。それじゃ、また…部活頑張ってね」
私は居た堪れなくなって、足早に学校を後にした。

