さくら色 〜好きです、先輩〜


先輩がこっちに戻ってきて約半年後、俺達は高校に合格した。

若菜先輩は葵にサッカー部のマネージャーになってもらおう、と言い出した。


「矢野さんが言ってたじゃない。葵ちゃんならって。その話が本当なら、葵ちゃんがマネージャーとしてサッカー部にいれば桜井君も戻って来やすくなると思うの」


若菜先輩は俺の胸の内を知らない。

桜井先輩が戻って来やすいように葵を利用するみたいで正直迷ったけど、俺は葵がマネージャーになることは賛成だった。


俺自身のためにも。

葵が側にいてくれたら俺は頑張れる。


桜井先輩のことは今も尊敬してるし、また一緒にサッカーがしたい。


だけど、葵は渡せない。


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「恭介、どうしたの?ボーッとして」

「…あ、悪い」


葵はキョトンとした顔で首を傾げている。

やばい、やばい。

これから大切な話すんのに集中しなくちゃな。


さっき里美に「頑張って」と耳打ちされた。

さすが里美…

俺がこれから何を言うかわかってんだろうな。


「あのさ、先輩のことだけど」


*恭介side*終*