さくら色 〜好きです、先輩〜


数日後、先輩を地元のコンビニで見かけたけど俺の知ってる先輩じゃなかった。

伸びた髪は茶髪に染まりボサボサのままスウェットをだらしなく着て、まるで感情のない人形のようだった。


俺はずっとこの事を葵に言えないでいた。

もし、この話を聞いたら葵はどうなる?

葵は先輩が好きだった。

多分、今も忘れられてない。

そんなの、ずっと葵を見てたからすぐにわかる。


きっとあいつは自分の痛みのようにショックを受けるだろう。


そのうち街で遭遇してしまうかもしれない。

だからその前に知っておいた方がいいと思って話そうとしても、いざとなるとなかなか言葉が出て来なかった。


だけど本当のところは、葵がショックを受けるから話せないわけじゃない。

俺はそんなに優しくない。

今の状況を知ったら葵は先輩のところへ行ってしまう。


だから言いたくなかった。