さくら色 〜好きです、先輩〜


「中学の後輩に西原さんって子いるの知ってる?」


矢野さんは急に思い出したと言わんばかりに手を叩いた。


「俺の幼馴染ですけど」

「その子なら奏人を生き返らせれるかもしれない」

「どうして葵なんですか?」


矢野さんの言葉に、何だか胸騒ぎがした。

心臓が大袈裟に音を立てて揺れる。


「あいつ、西原さんの話ばっかしてた。あの子の笑顔が好きだったって」


先輩が葵を…?


胸に矢が刺さったようにズキズキと痛む。

それから矢野さんと若菜先輩が何か話していたけど、俺の頭には入って来なかった。


その後、矢野さんは寮の門限があるからと言って帰って行った。