そんなある日、若菜先輩から呼び出された。
約束の場所に行くと若菜先輩ともう一人、男の人が一緒にいた。
その人は矢野さんといって先輩と同じ高校のサッカー部に所属しているらしい。
若菜先輩のお兄さんの友達の弟って言ってたっけ。
矢野さんから聞いた先輩の話は嘘みたいな話で胸が痛くなった。
若菜先輩は目に涙を浮かべ、唇を噛み締めていた。
「俺は奏人のこと親友だと思ってた。奏人も多分…そう思ってくれてたと思う。俺には嫌がらせされてることを話してくれてたんだ」
そう言った矢野さんもまた、今にも泣きそうな顔をしていた。

