「私は日本で先輩を待ってます。ずっと、待ってますから…だから、頑張って下さい」
私は先輩に飛びっきりの笑顔を向けた。
嘘偽りのない心からの笑顔を…
「行って来ます」
先輩の手が私の手からゆっくりとすり抜けて、温もりが消えていく。
だけど胸の中はほっこり暖かかった。
先輩の背中が一歩一歩遠くなる。
「奏人!!!…行ってらっしゃい!!」
私はその背中に向かって大きく手を振った。
先輩は振り向いてゲートが閉まるまでずっと拳を上げていた。
ゲートが閉まってもずっとそこから目を離せなかった。
「偉かったな」
小林先生は私の頭にぽんっと手を乗せた。
「先生…私泣いてないですよ。だって…これは悲しい別れじゃないから」
悲しい別れじゃない。
これは愛しい人の夢へのスタートライン。

