【10時30分発、○○○行きご搭乗のお客様は〜】
場内アナウンスが流れた。
「…俺、そろそろ行かなきゃ」
そう言った先輩の目には少し涙が溜まっていた。
私は先輩の両手を強く握った。
「私、手紙書きます。手紙は私達の原点だから…」
「俺も書くよ」
「私も先輩に負けないように頑張ります。あと…あと…」
言いたい事が沢山ある。
沢山ありすぎて、うまく言葉に出来ない。
それよりも込み上げてくるものを抑えるので精一杯だった。
「葵、これは別れじゃない。絶対に迎えにくるから」
先輩のその一言は私の心を穏やかにした。

