さっき恭介から受け取った手紙は少し膨らんでいて、中学の卒業式を思い出した。
私はその手紙を開かずにただ見つめていた。
「この調子だと十分間に合うから、そんな顔すんな」
「…先生、すみません。休みまで取らせてしまって」
「気にすんな。那奈が世話になってるし。あいつがさ、初めて俺を頼ってきたんだよ」
先生は口元に笑みを浮かべて言った。
「初めて?」
「寂しかったり辛かったりしたらいつでも連絡してこいって言ったのに全くしてこなくてさ、今日が初めて。葵を助けて!って泣きそうな声で言うんだ。俺ばっか那奈のこと気にしてわざと教室の前通ってみたりしてんのにさ」
「那奈はいつも先生のこと思ってますよ?」
「はは!わかってる。でも正直、俺ばっか好きなんかと不安になる時もある」
「先生も不安になるんですね」
「そりゃなるさ。大人の男だけど人間だし。桜井も同じだと思う。男でしっかりしてるように見えて表には出さないけど今一番不安なのはあいつだ。だから今回のこと許してやってな?」
私は窓の外を眺めた。
空には飛び立ったばかりの飛行機が青空の下、堂々と羽を広げて飛んでいる。

