さくら色 〜好きです、先輩〜


「ん?ああそうだ、俺も聞きたい事があったんだ。俺がピッチに戻った時、夏樹に言われたんだ。葵ちゃんは何で赤の他人の為にあんな一生懸命になれるんだって。お前ら、何かあったのか?」


私はハーフタイムの時の出来事を話した。

先輩は時々顔を曇らせながら静かに聞いていた。


「夏樹さんはお祖母さんが亡くなったこと誰にも言わなかったんですか?」

「何も言ってなかったな。忌引で休んでもないし全く知らなかった…ただ、今思えば急に元気がなくなった時期があった。あれからあいつ、変わったんだ」


先輩は足を止め、河川敷から遠い目をして話した。

多分、その当時の事を思い出しているんだと思う。


「あいつ…辛かっただろうな…」

「そうですね…」


その後、先輩は夏樹さんと仲直りしたと教えてくれた。

決勝戦後、夏樹さんが先輩と昔の仲間達に頭を下げたらしい。