後半戦、うちの選手の動きはいつも通りに戻って試合の流れが変わりつつあった。

相手チームが反則行為を狙ってくるのを上手く交わして今のところ怪我人は出ていない。

そして先輩のコーナーキックに合わせて小野田先輩がヘディングを決めて一点を返した。

選手は小野田先輩に駆け寄り、応援席では飛び跳ねたり隣同士抱き合ったりして喜び合った。


ーーーーピッピッピーッ!


「後半戦終了!」


決勝戦からは前後半で勝敗が決まらない場合、10分ハーフの延長戦が行われる。

もし、それでも決まらなければPK戦に流れ込む。


私は延長戦までの間、佳菜子さんを探した。

佳菜子さんは会場の入口で祈るようにお父さんの姿を探していた。