「「「きゃー!!」」」
応援席から大きな歓声が沸き起こった。
「後半戦、始まりますね。私、戻ります。佳菜子さんは?」
「私はもう少しお父様を待ってみるわ」
「そうですか。…あの、確かに夏樹さんには色々あって同情します。お父さんと和解出来ることを願ってます。だけど、夏樹さんのしたことは決して許されることではありません」
「もしかして、あなたが奏人さんの彼女さん?」
佳菜子さんはまだ涙で潤んでいる目を見開いて、ハッと息を呑んだ。
「…いえ、私はマネージャーです。でも先輩が辛い想いをしてきたのを近くで見てきました。だから…二人にはちゃんと話し合って元のいい関係に戻れればいいと思ってます」
夏樹さんのことは簡単に許せることではないけど、先輩は夏樹さんを信じてる。
だから私も二人が話し合って上手くいくなら、もうそれでいいんだと思う。
「そうね。私もそう思う」
「お父さん、きっと来てくれますよ。子供を大切に思わない親なんていないですから」
私は佳菜子さんに一礼して応援席に戻った。

