さくら色 〜好きです、先輩〜


「お父様はお祖母様には何も言えなかった。だからなつはサッカーを続ける事が出来た。高校にスポーツ推薦で入ってからは本当に楽しそうでね。とても気が合ってサッカーが上手い奴がいるって喜んでたわ」


それが先輩のことだってことはすぐにわかった。


「奏人って言ったかしら。その人とはよく二人で夢の話で盛り上がってたって。そうそう、その人がよく好きな女の子の話をしてて羨ましいとかも話してたわ」


佳菜子さんは口に手を当てて、クスクスと微笑んだ。


「自分より奏人さんが試合に出ることになっても、なつはそれを喜んでたわ。あいつは上手いから、俺はあいつとサッカー出来て本当に嬉しいんだって。だけどそんなある日、ずっと支えてくれたお祖母様がお亡くなりになったの」


亡くなった…?

ずっと支えてくれていた人がいなくなって、夏樹さんはどれだけ辛かったのか…

それを考えるだけでも心が痛む。