私は先輩が以前同じことを言ってたのを思い出した。

夏樹さんも一年の頃は皆と同じ夢を持ったサッカー少年だったんだ。


なのにどうして…?


夏樹さんがこんな風になったのは何か理由があるはず。

夏樹さんをここまで変えてしまった事って一体…


「おい!…今の聞いてたのか?」


突然夏樹さんに声を掛けられて、私は思わず肩を竦めた。

辺りを見渡すと、すでに他の人の姿はなかった。


「あ!す、すみません。偶然通りかかって…」


夏樹さんは私の方へゆっくりと近付いて来る。

私は背中に柱があるため逃げれず、ごくっと息を呑んだ。


「ふっ。そんな怯えた顔すんなよ。何もしねぇから」

「……」

「今の話は忘れろ」


そう言う夏樹さんは有無を言わせないと言わんばかりの目力で睨みつけて来る。

恐怖からなのか、緊張からなのかわからないけど、指先が体温を失い震えて来る。