私はハーフタイム中に飲み物を買いに売店に来ていた。
「あれ?あの人…先輩の前の学校の…?」
柱の影に隠れるようにして数人が何か揉めてるように見える。
ゆっくりと近付き柱に背を当てて様子を窺うと、鮮明に会話が聞こえて来た。
「久しぶりだな。お前ら、今の学校はどうだ?」
この声って…夏樹さん?
「楽しくやってるよ。今のとこは本当いいチームだ」
「ふっ。雑魚のチームがいいチーム?笑えるな」
夏樹さんは嘲笑って吐き捨てるように言った。
「今のお前にはわからないだろうな。なあ夏樹、サッカー好きか?」
「…愚問だな」
「もう、やめろよ。もういいだろ?これ以上誰も傷つけるな。昔のお前ならわかるよな?」
「……」
「俺達はもう一度奏人と夏樹と昔みたいにサッカーがしたい。入学当初はボールがなかなか触れなくても楽しかっただろ?二人が俺ら一年を引っ張ってくれて…忘れたのかよ?あの頃のお前は無邪気に笑って熱く夢を語って…」
「うるせぇ!!」
夏樹さんの声が廊下に響いた。
私は胸の前で両手を握った。
心臓がバクバク音を鳴らす。

