佐々木君は「大切な友達が困っているのを放っておけなかった」と言った。


もし、恭介が困っていたら私はどうするだろう。

答えは決まってる。

私は恭介を絶対に助ける。

それは里美も同じだと思う。


「板橋がこの学校にいる以上、他の女子と仲良くしてる所を見られたら怪しまれる。だから図書室に行かなかった。メールも電話もすれば会いたくなるから…だから無視したんだ」


そう話す佐々木君からは、まだ里美のことが好きだっていう強い気持ちがヒシヒシと伝わって来た。

だから一刻も早く誤解を解きたい、気持ちを伝えたいんだ。


もしかしたら、今回のことで一番辛かったのは佐々木君なのかもしれない。

好きな人を遠ざけて、告白されても断らなければいけない。

本当ならその場で抱き締めたかったはずなのに…

そして目の前で他の女子と付き合ってると告げる。

夏休みからずっと、胸が張り裂けそうな想いを抱えてきたんだね…


「里美なら文化祭実行委員で会議室にいると思うよ。早く里美を笑顔にしてあげて」

「西原さん…ありがとう」


佐々木君は私に頭を下げて、会議室に向かって走り出した。


窓から見える空は水色と茜色が入り混じっている。

私はその空に、明日二人揃って最高の笑顔が見れますようにと祈った。