「香緒里ちゃん!」
私は今にも過呼吸を起こしそうなぐらい苦しそうに嗚咽を繰り返す香緒里ちゃんに駆け寄った。
震える香緒里ちゃんの背中を、私は落ち着かせるように摩り続ける。
「わ、私…他の先生呼んで来る」
那奈はそう言って慌てて視聴覚室を飛び出した。
「先生、離して下さい」
佐々木君は板橋先生を鋭く睨み付けている。
「…っんだと!!?」
「離して下さい!!」
教室中に佐々木君の怒声が響き、その声に私も香緒里ちゃんも肩を竦めた。
佐々木君の胸ぐらを掴む先生の手は怒りで震え、目は憎悪に満ちている。
普段見せる先生の姿とはまるで別人で、私は目を疑った。
「お前さえいなかったらな…香緒里は俺から離れる事はなかったんだよ!お前が香緒里を脅してんだろ!!?そうだよな!?」
「先生、まだわからないんですか?香緒里が怖がって震えてるの見てまだそんなこと言えるんですか?」
「…はぁ!?ハッキリ言えよ」
佐々木君も先生も、お互い視線を逸らさない。
二人のその睨み合いに、私が怯んでしまいそうになった。

