さくら色 〜好きです、先輩〜


「やっと見つけた。二組行ったらすぐ戻るから待っててって言われたから待ってたのになかなか戻って来ないんだもん」


どうしよう…

今、里美がこの事知ったら…


「あ、ごめんごめん。先生ここにはいないみたいだから違うとこ探そ」


私は事情の知らない那奈に伝わるように目で訴えかけた。

那奈は一瞬眉を顰めた後、私の訴えが伝わったのかすぐに話を合わせてれる。


「そ、そうだね。行こ行こ」


私達はドアを閉めて、里美の所へ駆け寄った。


「ねえ、何見てたの?」


里美は私達が見ていた視聴覚室のドアをジッと見つめている。


「へ?何でもない何でもない!いるかどうか覗いただけでいなかったから」

「そうそう。ほら早く行こ」


私と那奈は里美の背中を押して少しでも早く教室から遠ざけようとした。