私と那奈は中の様子を食い入るように見つめる。
すると板橋先生は血眼になりながら怒声を上げた。
「ふざけんなよっ!!」
その瞬間、私達も中にいる香緒里ちゃんも肩をビクッと震わせた。
「…なぁ、香緒里。もう一回考え直してくれないか?」
さっきとは打って変わって弱々しく訴えかけるように言う板橋先生は、香緒里ちゃんに一歩ずつ、ゆっくりと近付いて行く。
「もう付き纏うのはやめてもらえませんか?香緒里はもうあなたのこと何とも想ってません。それどころか怖がってます」
佐々木君は背に香緒里ちゃんを隠すように二人の間に入って、瞬きもせずに先生を睨みつけている。
香緒里ちゃんはその場に泣き崩れた。
「ねえ、これやばくない?誰か呼んで来た方が…「「葵!那奈ちゃん!」」
勢いよく振り返ると、少し離れたところに里美が腰に手を当てて立っていた。

