さくら色 〜好きです、先輩〜


その後、先輩達はカフェでお茶をして当番の時間だと慌てて帰って行った。

先輩は帰り際に私の耳元で「紫の浴衣、似合ってる」って顔を真っ赤にしながら言ってくれた。


心が震えて、泣きそうだった。

でもこれは辛い悲しい涙じゃなくて、幸せの涙…



「葵、那奈。お願いがあるんだけど、板橋先生呼んで来てくれないかな?私当番で抜け出せなくて」


当番の交代の時間になり、里美が来るのを教室で待っていると委員長が顔の前で手を合わせて言った。


「いいよ!すぐ戻るから里美が来たら待っててって伝えて」


そうして私と那奈は板橋先生を探しに校内を回った。

生徒から聞いた目撃情報を頼りに今日は使われていない特別棟の最上階まで来たけど…


「板橋先生、ここに何しに来たんだろうね」


文化祭の最中は使われてないから誰もいないはずだし、ましてや先生の担当教科の準備室があるわけでもない。

情報の間違いだろうと思い、私達は引き返す事にした。