出来上がった写真はやっぱり顔が引きつっていた。
先輩と過ごせる最後の文化祭…
本当は一緒に回ったりたくさん写真撮ったりしたかった。
「葵ちゃん、これあげる」
若菜先輩がくれたのは私と先輩のツーショット写真だった。
「これ…」
「私が一回カメラ持たせてもらった時に撮ったのよ。まさかここまでいい表情撮れてたとはね」
本当に嬉しかった。
写真の中の私達はお互いの目を見て満面の笑顔だった。
二人の間には壁なんてなくて付き合ってた頃のように温かい時間が流れていた。
「どうして、これを…?」
「二人が別れた理由はわからないけれど、私には葵ちゃんがまだ桜井君のこと想ってるように見えたから」
若菜先輩は私達が距離を置いたときからずっと心配してくれていたんだ。
小野田先輩も、だからこうして先輩をここに連れて来てくれた。
「…若菜先輩…ありがとうございます。私、この写真一生大事にします」
私は貰った写真を優しく抱き締めた。
辛くなったらこれを見よう。
何でも乗り越えられる、そんな気がした。

